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2014 / 03 / 17
平成27年度入学生の募集停止について

平成27年度入学生の募集停止について


1 新潟大学大学院実務法学研究科(法科大学院)は、平成27年度以降の入学生の募集を停止することを決定しました。
  それとともに、在学生が一人残らず無事に修了するまで本研究科の現在の教育体制を維持し、修了生も含めて、全員が司法試験合格という目標に向かって邁進できるよう引き続き熱意をもって指導に当たることにより、地域社会で活躍できる法曹を輩出するという本研究科創設以来の任務を完遂することと致しました。
2 本研究科は、「地域住民のニーズに即したリーガルサービスを着実に提供できる、地域住民の信頼と期待に応えうる」法曹の養成を教育理念として掲げ、実際上も、そうした法曹を数多く輩出してきました。本研究科修了後に司法試験に合格した者はこれまでに75名を数え、その多くが、新潟県と近隣各県で弁護士として活動しているほか、東京・横浜等の首都圏で弁護士となる者、さらには、本研究科で学んだ知識を活かして国や自治体、会社の法務部門で働く者など、活躍の場は、さまざまな職域へ広がっています。このように、修了生が本研究科の教育理念を積極的に受け止め、みずから進んで地域社会のリーガルサービスの担い手となっていることは、われわれにとって大変嬉しく、また誇りとするところでもあります。
  また、司法試験の合格率も、教育体制のさらなる充実・強化等により、平成24年には全法科大学院中23位、平成25年には25位と(いずれの順位も予備試験合格者を除く)、上位3分の1に食い込むまでに向上させることができました。
3 しかしながら、こうした着実なあゆみにもかかわらず、法科大学院をとりまく状況は、この数年間、急速に厳しさを増し、本研究科もかつてない困難に直面することとなりました。
 ? まず挙げられるのは、法曹志願者の減少による入学者の減少です。この点については、周知のとおり、政府の法曹制度養成制度検討会議の取りまとめでも、全体としての司法試験の合格状況がさほど高くなっておらず、司法修習後も法律事務所等に就職し活動を始めることが困難な者が増加している状況も指摘されており、法科大学院での学習に要する時間的・金銭的負担を考えると、法曹を志願して法科大学院に入学することにリスクがあると捉えられている現状があります。
 ? 全国的な法曹志願者減少の結果、以前とは異なり、より司法試験合格率が高い上位有力校に志願者が入学できる状況が生じています。加えて、大規模校が集中し、学費免除等の経済的優遇措置を手広く提供する私立大学も多い首都圏などの大都市部に志願者が集中する事態が加速していることも事実です。
 ? さらに、予備試験の影響も見逃せません。予備試験の創設により、法曹を目指す学生のうち優秀な者は予備試験合格による司法試験受験の道を選択し、これに伴い、各法科大学院の入学試験では一部の上位校へ向かって合格者の吸い上げが加速しつつあります。昨今では、予備試験の受験者増により、法科大学院制度が掲げてきた「プロセスとしての法曹養成」という理念が軽視され、いかに効率的に短期間で司法試験に合格するかが重視される傾向が生じかねないとの指摘もみられ、今後の状況が大いに懸念されるところです。
4 もちろん、本研究科も、こうした厳しい現状を前に、無為無策で過ごしてきたわけでは決してありません。入学定員やカリキュラム、入試制度の見直し、教員相互による授業評価や教育方法の改善、広報活動の強化、司法試験合格率の向上など、あらゆる手をつくして志願者数の増加と入学者の確保につとめてきました。しかし、全国的な法科大学院志願者数の激減と、上述したような大都市部への志願者の集中により、本研究科は、司法試験の合格率が向上したにもかかわらず入学者数が伸び悩むという苦境に立たされることとなりました。
  また、この点に関しては、新潟から首都圏まで新幹線で2時間という本研究科の立地条件や、本学法学部では東日本全域から入学者が集まり、県外出身者が7割を占めるため、法学部卒業後は新潟県外での進学・就職を目指す者が多いという特殊な事情も、結果的に法科大学院志願者の他地域への流出をもたらした面があると考えられます。
5 司法制度改革の一環としてスタートした法科大学院は、純粋未修者や社会人など、多様なバックグラウンドを持つ人材をも受け入れて法曹へと育てることで、わが国の司法をより良いものにすることを意図していました。本研究科も、大学において法律学以外の学問分野を履修した者や社会人経験者などを広く受け入れ、多面的な視点で問題を考察できる法曹を養成すべく努力してきました。しかし、法科大学院志願者の全国的な減少と、大都市部への志願者の集中は、同時に、法学未修者ではなく法学既修者として入学し早期に司法試験合格を目指す動きを志願者の間に生じさせたため、当初から未修者教育をも重視して法曹養成を行ってきた本研究科では、われわれが理想とする教育のあり方を今後も継続・発展させることが困難になりつつあります。
  たとえば、様々な経歴を有する者が多様な見地から特定のテーマにつき議論したり、紛争解決の方法を探ったりすることは、法的知識を単に習得するにとどまらず、それを批判的に検討し、新たな規範を発見するための創造的な思考力を涵養するという、本研究科の教育目的の実現に不可欠ですが、志願者数の減少によって入学者中の社会人経験者や法学未修者の数も減少している現状では、上記教育目的の追求が遠からず困難になることも予想されます。また、受講者同士が議論し合う演習科目や、ロールプレイあるいは模擬裁判の形式による実務教育科目、臨床教育科目においては、学習効果を上げるためにも一定人数以上の受講者の参加が望ましいところですが、これらの科目にあっても、今後、適切な授業運営が難しくなる可能性があると同時に、現状では近い将来こうした状況が抜本的に解消される見込みが立たないことも事実です。
6 以上のようなことから、本研究科は、現在の体制を維持して在学生に対する教育責任を最後まで全うするためにも、教育力や人材などの面での弱体化を招く前に募集停止を行うべきであるとの判断から、平成27年度入学生の募集停止を決定するに至りました。
  もとより、これは、われわれにとっても苦渋の決断にほかなりません。しかしながら、募集を停止したとしても、すでに述べたように最後まで在学生および修了生を親身になって指導し、過去の修了生も含めた全員が地域住民の信頼と期待に応えうる法曹となれるよう教育責任を全うする決意に変わりはありません。どうか最後まで、各方面からの変わらぬご指導ご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げる次第です。

 平成26年3月17日
新潟大学大学院実務法学研究科

研究科長  丹 羽 正 夫



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