【山本ゼミ】少ない条文の背後にある多くの歴史や理論を手掛かりにして今起きている問題にアプローチする

准教授山本 真敬YAMAMOTO Masahiro

皆さんは、憲法(日本国憲法)について、小学校から高校まで繰り返し学習してきており、憲法の3大原則として「国民主権」・「基本的人権の尊重」・「平和主義」があることや、憲法が法のなかで特に重要なものとされていることも、耳にしたことがあるはずです。

憲法は、公権力の組織を主権者が構成することに関わる(国民主権)だけでなく、そのようにして主権者の代表から構成された公権力であってもなお侵害し得ない諸個人の基本的な権利を保障するために様々な仕組みを設けています(基本的人権の尊重)。さらに日本国憲法の場合には、その歴史的出自から「陸海空軍その他の戦力」を「保持」しないという平和主義を採用しています。

もっとも、憲法は103条しかなく、さらに抽象度の極めて高い条文も多いことから、条文の解釈にあたっては、判例や学説を手掛かりにすることが必要となるのみならず、近代憲法が誕生した歴史的経緯や人権思想をも手掛かりにする必要があります。憲法が保障する権利はまずは公権力に対抗するものと考えられますが(日本国憲法99条参照)、しかし現代では、例えばヘイトスピーチやビッグデータとプライバシー保護といったように、私人間でも「人権」をめぐる様々な問題が生じています。このような現代的な問題を考える場合でも、そもそも憲法(に定められた様々な仕組み)がどのようにして、どのようなものとして誕生し展開してきたのかを知り、そのうえで現代的な諸問題にアプローチすることが、必須のものとなります。

そこで法学部の憲法の講義では、様々な現代的な諸問題をも視野に入れつつ、基本的な概念や、重要な判例・学説、そしてそれらを支える思想的・歴史的背景などを解説します。講義の中で、憲法がいかなる意味で重要なのかに触れてみてください。また、演習(ゼミナール)は、担当教員によって様々なあり方で行われますが、わたしの担当する演習では、判例や学説、諸制度、歴史・思想、時事問題といったテーマを発表班の学生が自由に選択し、授業中にプレゼンテーションを行い、学生どうしで議論して理解を深めてもらうようにしています。

憲法が人間が人間であるがゆえに保障されるべき基本的な権利の保障に関わる以上、憲法の理解は、法曹や公務員だけでなく、市民としても必須のものと考えます。新潟大学法学部で、一緒に憲法の勉強をしてみませんか。