【丹羽ゼミ】刑法や刑事法学は何のためにあるのか

 刑法や刑事法学は何のためにあるのか。そう問われると、「犯罪者を処罰するためにある」と答える人がおそらく多いと思います。でも、本当にそうでしょうか。 

 たしかにそういう面もあるでしょう。しかし、意外に思えるかもしれませんが、刑法や刑事法学は、「犯罪者を処罰するため」ではなく、むしろ、「処罰の行き過ぎを防ぎ、人権を守る」ためのものとして発展してきたのです。裏を返せば、刑法の歴史は人権侵害の歴史でもあったといえます。この点は、中世ヨーロッパの魔女狩り裁判や、反政府的な言論を弾圧し処罰する法律が世界のあちこちで存在した(そして今でも存在する)という歴史的事実を見れば明らかでしょう。犯罪予防・治安の維持と人権の擁護をどう調和させるか。刑事法学は何よりもまず、こうした課題と取り組む「人権を守るための学問」なのだといえます。 

 同時に、刑事法学は最終的に「世の中を良くしていく」ことにつながる学問でもあります。19世紀ドイツの刑法学者・リストは、「最良の刑事政策は最良の社会政策である」と述べ、犯罪をなくすには福祉を始めとする社会政策の力が欠かせないと主張しました。こうした考えは今日ますます重要になっており、犯罪対策を考えるうえでは自分たちが暮らす社会の現状に目を向け、「犯罪を生まない社会を作る」という視点が欠かせません。皆さんも、犯罪が多い街に住むよりも安全な街に住みたいでしょうし、罪を犯した人が社会復帰しやすく、被害者が十分な支援を受けられる社会のほうが、他人に優しい社会なので暮らしやすいですよね。実は、そうした社会を目指すことが、結局は犯罪を減らすことにつながるのです。そのような視点から社会と向き合い「世の中を良くする」ことができるという意味で、刑事法学は実践的で魅力的な面も持ち合わせていることをぜひ知っておいてください。 

 ここまで読んで頂き、皆さんには「刑事法学って面白そう」と思ってもらえたでしょうか。法学部のゼミでは、他者との議論を通じて自分を磨き、自分の考え方を鍛えることができます。刑事法学は「犯罪者」や「被害者」などの「人間」を対象とする学問でもあるので、人間に興味がある人にはとくに向いている学問だといえるかもしれません。ゼミでの議論を通じて自分と違う考え方に触れることで、あなたのものの見方や世界観もきっと広がることでしょう。新潟大学法学部で、刑事法学を一緒に学んでみませんか。 

2023年度4年生一同

 皆さんは、「刑法」や「刑事政策」と聞いて、どんなイメージを持つでしょうか。 

 「刑法」は犯罪と刑罰を定めた法律だろうと想像がつきやすいかもしれませんが、「刑事政策って何だろう?」と疑問に思う人もいるかもしれません。刑事政策とは、簡単にいえば、犯罪を減らすための対策や刑事司法制度のあり方を考える学問です。 

 私たち丹羽ゼミでは、刑法と刑事政策を中心として、個別テーマのプレゼンや諸問題に関する議論を行っています。これらの活動を通じて、自分の主張を相手に分かりやすく伝える力や議論する力などを身に付けることができます加えて、3年時から、論文の書き方について丁寧な指導を受けられるため、時間をかけて自分の納得する卒論を書くことができます。それだけでなく、メールの書き方や礼儀作法など、社会に出てからも役に立つ知識を学ぶこともできます。 

 と、真面目な話はここまでにして(笑)、丹羽ゼミはよく学び、よく遊ぶ」をモットーに、ゼミ生同士での交流や楽しい行事が盛りだくさんなゼミです。例えば、節目毎に行われるお疲れ様会というゲームなどをして楽しむ会や、クリスマスのプレゼント交換などがあります。そこでは、勉強のことは一旦置いておいて(笑)、皆で楽しむことができます何より、ゼミ生同士で話す機会が多いため、お互いの趣味や好きな食べ物の話まですることもあります。また、34年合同でゼミを行うため、学年関係なく仲が良いのも特徴です。 

 大学のゼミは、議論などを通して自分の知識を蓄え、考えを深める場所でもありますが、たくさんの個性豊かな人と出会える場所でもあります。ぜひ、楽しみながら、刑法や刑事政策について学んでみませんか。