学びの特徴
3つの学修ステップ
学生一人ひとりの着実かつ効果的な学修を推し進めるため、新潟大学法学部は、大学の4年間を、3段階の教育ステップに分けてカリキュラムを設計しています。各年度は、学生の学修効果を高めるために4つのタームに分かれています(クォーター制)。このカリキュラムによって、効率的に4年間の学修を進め、卒業後の進路選択に必要な能力を身に着けることができます。
1st step
大学教育開始
効果的な学習技法の習得・専門的学修のための基礎学力の涵養
- スタディ・スキルズ
- 人文社会科学入門
- リーガル・システム
1年次第1タームから、高校までの学びから大学への学びへと転換するために、導入教育科目として、①大学で学ぶ、②人文社会科学を学ぶ、③法学部で学ぶ、の3層に必要な基礎的能力の涵養を行います。 具体的には、①大学教育を受けるにあたって必要なスキルの涵養=「スタディ・スキルズ」、②人文社会科学を学ぶ上で必要な基礎的な知識の涵養=「人文社会科学入門」、③法学部で学ぶために必要な知識と専門的な学修のための基礎知識の涵養=「リーガル・システム」が開講されます。「人文社会科学入門」「リーガル・システム」は、複数の専門分野の教員がオムニバス形式で講義を行い、次のステップへの案内役も果たします。
2nd step
市民社会のルール学修
法学の基礎知識の習得と議論に基づく基礎知識の定着・多彩な専門科目による興味関心の深化と展開
- 基幹講義科目+基礎演習科目
- 各種法律系・政治系科目
- 現場主義科目
1年次第2タームから2年次第3タームにかけては、法学の基礎的知識を習得し、法学的思考の定着を図ります。具体的には、憲法・民法・刑法の3科目を基幹科目として位置づけ、知識をインプットする「基幹講義科目」と、アウトプットを目的とする「基礎演習科目」をセットで開講します。
そのうえで、2年次第3タームから3年次の間、法学・政治学の様々な専門科目を履修することで、我々が暮らす市民社会の維持・発展のために必要不可欠なルールの基準を習得します。また、弁護士などの実務家等による講義科目や行政活動の現場で活躍するゲストによる講義科目を開講することにより、将来の進路選択を支援します。
3rd step
学修完成
社会的課題の解決に向けた実践的な思考力の涵養による学びの完成
- 現代社会と法
- 法政演習Ⅰ・Ⅱ
- 卒業研究Ⅰ・Ⅱ
- ジュニア・リサーチ・ペーパー(JRP)
最後のステップにおいては、これまでのステップで学んだことを踏まえて、社会で実際に生起している諸課題を認識し、それに対してどのような解決策が考えられるか実践的に考え、知識・理論と実践との接合を図ります。具体的には、「現代社会と法」を開講し、講義形式のみならずシンポジウムにおけるディスカッションを通じて、理論と現場の協働の営みを体感してもらいます。この科目では、技術・消費者・災害・ライフサイエンスなどの先端的な法学関連領域を扱います。さらに、法政演習・卒業研究を通じて「ジュニア・リサーチ・ペーパー(JRP)」を執筆することで、学修の総仕上げをします。
少人数教育
新潟大学法学部では、各学年に応じて、一人の教員がそれぞれ10名程度の学生をきめ細やかに指導する少人数教育を実施しています。1年次の「スタディ・スキルズ」、2年次の「基礎演習」のほか、3年次に「法政演習Ⅰ・Ⅱ」、4年次に「卒業研究Ⅰ・Ⅱ」が用意されています。教員と学生との距離が近づくため、学びの幅が広がるのみならず、人間形成の一環としても重要な位置づけを有しています。
スタディ・スキルズ(1年次)
ノートの取り方、文章の要約やレポートの作成法など、大学生としての基本的な学習のための技法のみならず、プレゼンテーションや討論を通じて法学部生として基礎的な知識や技術を習得する事を目的とする必修科目です。大教室での講義(大クラス)と少人数での演習(小クラス)を組み合わせて、効果的な技法の習得を図ります。
基礎演習(2年次)
学生自らの主体的・能動的学習を通じて、基幹講義科目の基礎的な知識の定着を図ることを目的に、選択必修科目として各種基礎演習がおかれています。最高裁の重要判例について報告し、議論を行う憲法基礎演習・民法基礎演習、刑事法分野全体を通観する教科書を素材に重要論点について報告・議論する刑法基礎演習があります。また、それぞれの基礎演習クラスには、法曹養成プログラム(法曹コース)向けのクラスがあります。
法政演習Ⅰ・Ⅱ(3年次)
各教員の専門分野をより深く理解することを目的として、3年次から少人数のゼミナール(法政演習)に所属します。ゼミの中で、学生が能動的に調査・報告・議論することで知識を深化させると同時に、他者と協調することを通じて社会人として必要な能力の基礎を身につけていきます。法政演習は4年次に履修する卒業研究の基礎力を養います。法曹養成プログラム(法曹コース)では、最短で3年間の早期卒業が可能です。
卒業研究Ⅰ・Ⅱ/ジュニア・リサーチ・ペーパー(4年次)
法政演習と同じ教員の指導のもと、研究の成果を「ジュニア・リサーチ・ペーパー」(JRP・卒業研究)として論文にまとめる必修科目です。各自が興味を持って設定したテーマについてさらに深く掘り下げ、1万字以上の論文を執筆します。また、例年1月末にはJRP発表会が開催され、多数の学生や教員の前で、JRPのプレゼンテーションを行います。法曹養成プログラム(法曹コース)では、連携協定校に進学する道も用意されています。
より深い学びのための環境
全学分野横断創生(NICE)プログラム
社会には、一つの学問領域ではとらえきれない事象がたくさんあります。そこで、総合大学としての豊富な教育資源を有する新潟大学では、法学部の学問の専門分野(メジャー)だけでなく、学部の枠を超えて複数の分野を横断して学ぶことのできる仕組み(全学分野横断創生(NICE)プログラム)を設けています。アドバイザーなどのサポートの下で、3種類のマイナー(副専攻)を、学生の皆さんの興味・関心や問題意識に沿った学修を進め、一定の単位数を取得すると、修了証が発行されます。
資料室
法学部資料室は、法学・政治学に関する雑誌・図書を所蔵しています。法令集・判例集・辞書・白書等のほかに、授業・レポート・ゼミ発表などの資料収集のためのデータベースも備えています。その他にも授業や勉学に関するさまざまな窓口になっており、学生をサポートします。大いに資料室を活用してください。
現場主義
新潟大学法学部は、各界の第一線で活躍されている方々をお招きし、講義室に「現場」を取り入れるユニークな授業を行っており、インターンシップと併せて「現場主義」を実現しています。特定の分野にスポットを当てて現場を学ぶ「司法書士と法」「新潟市の行政」のほか、多様な分野の講師による「賢人会議」があり、いずれも人気の講義です。講師の先生の中には、新潟大学法学部の卒業生もおり、自分の将来を具体的に考えられるきっかけとなっています。
賢人会議
様々な分野で活躍する「賢人」を招き、大学の教室にいながら、実社会について学びます。仕事内容や経験談を「賢人」から直接聞くことで、進路についての関心や学修へのインセンティブを高めます。
※ 2023年6月には、財務省⼤⾂官房秘書課財務官室課⻑補佐の⻑瀬俊隆氏に講義をしていただきました
2023年度「賢人会議」講師(順不同・敬称略)
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坂本卓司内閣府地⽅創⽣推進事務局参事官補佐・内閣官房デジタル⽥園都市国家構想実現会議事務局
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蓮井俊治新潟地方裁判所⻑
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⽯井⼀利NHK報道局国際部チーフリード
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⻑瀬俊隆財務省⼤⾂官房秘書課財務官室課⻑補佐
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成⽥浩福⽥リニューアル株式会社代表取締役社⻑
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笛⽊隆弘新潟県農地部農地計画課⼟地改良団体係主査
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吉⽥倫⼦弁護⼠法⼈PRESIDENT代表弁護⼠
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佐久間寛道財務省主計局主計官(司法・警察、経済産業、環境係担当)
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藤田丈志楽天コミュニケーションズ株式会社経営企画部
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斎藤敏之新潟交通株式会社グループシニアディレクター
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新潟県警察本部警務部警務課犯罪被害者支援室
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池田龍法新潟市中央区役所総務課主査横野真保新潟市財務部資産税課副主査
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小林謙介新潟地方裁判所刑事部部総括判事
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中西有紀全日本空輸株式会社オペレーションマネジメントセンターオペレーションマネジメント部アシスタントマネジャー
2024年度前期「賢人会議」講師(順不同・敬称略)
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菊池則明新潟家庭裁判所長
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岡田知拓KAERU株式会社代表取締役CEO
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川瀬治日刊工業新聞社編集委員
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佐藤水脈新潟地方裁判所刑事訟廷裁判所書記官樋熊樹新潟地方裁判所民事部裁判所事務官
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阿部有希財務省主計局経済産業係主査
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渡邊信子Art税理士法人所長
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安藤幸治株式会社三菱総合研究所営業本部営業企画グループシニアプロデューサー
インターンシップ
将来の職業選択の参考とするため、様々な業界の現場において1~4週間にわたって就業体験を行う、『現場主義』を体現した科目です。1997年に国立大学の法学部では初めて正規科目として『インターンシップ・プログラム』を導入して以来、実習先は、例年、金融・メーカー・サービス業・官公庁と多岐にわたります。「働くこと」と「学ぶこと」の意義を再確認し、就職活動へのモチベーションを上げる絶好の機会となっています。
2023年度インターンシップ受け入れ先 関東財務局新潟財務事務所、新潟労働局、新潟県庁、群馬県庁、秋田県庁、新潟市役所、山形市役所、会津若松市役所、第四北越銀行、野村證券株式会社新潟支店、青山法律事務所
地域政策協働センター(GPNet)
法学部に設置された地域政策協働センターは、行政や地域の現場に学生を送り込むことにより、法学部が掲げる「現場主義」の一翼を担っています。2022年度は、新潟県選挙管理委員会が主宰するNiigata選挙カレッジや燕市が主宰する燕ジョイ活動部(つばめ若者会議)に学生を派遣した他、燕市まちづくり条例見直し検討会議に参加し、市役所職員や市民とともに議論したり、県内市町村の若手議員を交えてNiigata選挙カレッジと共催で意見交換会を企画したりしました。
年間スケジュール
学生は、自分の関心や将来の職業選択に沿って、タームごとに履修する科目を自分で選択します。授業の他にも部活や大学のイベントを楽しんだり、資格試験に挑戦したり、休暇に旅行するなど、自分で学生生活をデザインします。
ターム | 月 | 大学全体 | 法学部 | 1年生 | 2年生 | 3年生 | 4年生 |
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第1ターム | 4月 | 入学式 | ガイダンス・聴講登録 | スタディ・スキルズ開始 | 基礎演習開始 | ゼミ(法政演習)開始 | ゼミ(卒業研究)開始 |
黎明祭 | |||||||
5月 | |||||||
6月 | 開学記念日 | 第1ターム試験 | |||||
第2ターム | 留学・サマーセミナー説明会 | ||||||
7月 | |||||||
8月 | オープンキャンパス | 第2ターム試験 | |||||
夏期休業 | 集中講義 | サマーセミナーなどに参加 | インターンシップに参加 | ||||
9月 | |||||||
第3ターム | 10月 |
聴講登録 交換留学生来校 |
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新大祭 | |||||||
11月 | |||||||
第3ターム試験 | 語学試験や法学検定に挑戦 | 次年度の所属ゼミ(法政演習)決定 | |||||
第4ターム | 12月 | スピーチコンテスト | |||||
1月 | |||||||
JRP発表会 | |||||||
2月 | 第4ターム試験 | ||||||
春期休業 | |||||||
3月 | |||||||
卒業式 |
二つのプログラム
新潟大学法学部では、学生のみなさんの進路選択に役立ててもらうため、二つのプログラムを用意しています。
1法学プログラム
このプログラムは、法律に関心があるという人や、行政の背景にある様々な考え方に詳しい公務員になりたい人、情報のやりとりや契約のルールなどについてまとまった知識をもって民間企業に就職したいという人のための課程です。この課程と従来の教育課程とはほぼ同等のものといえ、新潟大学法学部は、これまで、官公庁や民間企業等に多数の人材を輩出してきました。また、卒業生には、様々な大学院へと進学し、さらに学びを深める人もいます。
ディプロマ・ポリシー
人材育成目標(卒業生が身につけるべき資質・能力)
自治体・民間企業を問わず、様々な場面において新たな社会動向に対応して生ずる新たな課題を発見し解決するために、従来の知識と新たな発想を分野横断的に組み合わせつつ、公平・公正なルールに鑑みた望ましい解決策を考えることができる人材を育成する。学位授与の条件は以下の通りである。本学に当該プログラムの修業年限以上在学し、かつ所定の卒業要件を満たしかつ124単位以上を修得した者で、下記の能力を有すると認められる者に学士(法学)の学位を授与する。
プログラムの到達目標(目標としての学修成果)
(1)知識・理解
法学を学ぶ者に共通して必要とされる専門的学識(専門的な法律知識)を身に付ける。具体的には以下の4点を重視する。
- 法学の基礎的な概念・用語を理解する。
- 法体系や現行の政治・行政制度の基本構造を理解する。
- 特定の法分野の理論・構造を体系的に理解する。
- 法学の理論・学説・主要な判例について基本的な説明ができる。
(2)当該分野固有の能力
法学を学ぶ者に共通して必要とされる専門的学識の応用能力(法的な推論、分析、構成及び論述の能力)を身に付ける。具体的には以下の4点を重視する。
- 個別の事案に対し、どのように法を適用するかを説明できる。
- 法や政治の諸事象の問題の所在を認識し説明することができる。
- 諸課題の解決方策について、法学の観点から自説を展開することができる。
- 情報を整理し、考察を加え、自説を的確かつ論理的に文章化できる。
(3)汎用的能力
将来の実務に必要な学識及び能力並びに素養を身に付ける。具体的には以下の4点を重視する。
- ICTを活用し、情報の収集、整理、発信をすることができる。
- 自ら問題を発見し、解決策を立案し、解決に導くことができる。
- 自分の有する情報や相手の意見を踏まえ、自分の考えを自分の言葉で相手に分かりやすく、かつ、正確に伝えることができる。
- 外国語の文章を読み、外国語で議論を行うことができる。
(4)態度・姿勢
基本的人権の擁護と社会正義の実現に貢献することを目指すこと。具体的には以下の4点を重視する。
- 法学を高い意欲のもと主体的に学ぶことができる。
- 多様な意見に耳を傾けつつ積極的に議論に参加することができる。
- 基本的人権を擁護する姿勢を持って勉学に取り組むことができる。
- 社会正義を追求する姿勢を持って勉学に取り組むことができる。
カリキュラム・ポリシー
教育課程の編成方針
法学プログラムは4年間の法学の学びを体系的に編成するものである。その基礎となるのは、憲法、民法、刑法の講義科目である。また、1年次の「スタディ・スキルズ」、2年次の「基礎演習(憲法・民法・刑法)」、3年次の「法政演習」、4年次の「卒業研究」「ジュニア・リサーチ・ペーパー」といった演習科目を配置し、学生の主体的な学びを支援する。法学プログラムでは、法学部での4年間の学びを大きく3つのステップに分けて編成する。3つのステップとは、「大学学習準備」「法的ルールの基礎学修」「進路選択・学修完成」である。
教育内容や方法に係る方針
第1ステップの「大学学習準備」では、大学の学びに必要なスキルの修得や法学の基礎的素養を養う。また、法学部における専門教育を受けるための導入として、社会における法の役割について学ぶ。具体的には、法学を学ぼうとする学生に早期に専門教育の機会を提供するため、1年次第1学期より、法学部導入科目である「人文社会科学入門(法学)」及び「リーガル・システム」を履修する。また、演習科目として「スタディ・スキルズ」を配置し、高校までの学びから大学における法学の学びへの転換を支援する。
第2ステップの「法的ルールの基礎学修」では、法学及びそれに関連する領域関連科目を主として履修する。法学の基幹科目である憲法・民法・刑法については、それぞれの講義科目に対応させつつ、「基礎演習」との組み合わせを、憲法・民法・刑法のいずれかで完成させる。具体的には、2年次の「憲法基礎演習」「民法基礎演習」「刑法基礎演習」において、少人数の演習を実施する。学生は、これら3つのうち少なくとも1つを履修しなければならない。
第3ステップの「進路選択・学修完成」では、社会の様々な問題を法的に対処するための問題解決能力を養うとともに社会人となるための基礎的素養を完成させる。具体的には、専門的知識、課題発見能力、ディスカッション能力等を涵養するため、特定の分野に関する少人数での3年次の必修演習科目として「法政演習Ⅰ・Ⅱ」を、4年次の必修演習科目として「卒業研究Ⅰ・Ⅱ」を履修する。さらに4年次には、「ジュニア・リサーチ・ペーパー」を必修科目として履修し、本プログラムの集大成を図る。
学修成果の評価に係る方針
本プログラムにおいて重視する学修成果は、法的な推論、分析、構成及び論述の能力に関係している。このため、中核となる専門講義科目については、定期試験において記述式試験を原則とし、厳格な相対評価を実施する。また、専門演習科目については、「卒業研究Ⅰ・Ⅱ」「ジュニア・リサーチ・ペーパー」を集大成科目として位置づけ、これらの科目において文書作成能力を涵養する。
2法曹養成プログラム
「法曹(弁護士・検察官・裁判官)になりたい」という明確な目的意識を持つ学生のための教育課程です。これは、2019(令和元)年6月に成立した法律(司法試験改正法などの一部改正)に基づいて設置されるものです。1年次から法学の専門的な学修を開始し、最短3年間で早期卒業し、連携先の法科大学院に進学することが可能です(通称「3+2」)。これにより、学修期間の短縮と経済的な負担の軽減が期待されます。
近藤教授からのメッセージ
教授
近藤 明彦
KONDO Akihiko
法曹(裁判官・検察官・弁護士)は、現実の社会において生ずる法的な紛争や事件を解決する役割を担う重要な仕事です。法曹に対する社会の信頼と期待は厚く、法律の専門知識を最大限に活かして活躍することができるとてもやりがいのある仕事です。
法曹になるためには司法試験に合格しなければなりませんが、その前段階として、原則として法科大学院に進学する必要があります。新潟大学法学部は、全国の法科大学院の中でも最終合格率の高い名門法科大学院と多数連携し、みなさんの意欲と努力により、3年でこれらの法科大学院に進学できる道を設けました。
法科大学院への進学を果たすためには、法律的な知識を効率よく修得すること、その法律が社会においてどのように機能するのかを具体的な事例によって理解すること、法的に論理的な文章を書くことができるようになることが必要ですが、新潟大学法学部では、私を含み法律実務家(弁護士)として活躍している教員が複数いるほか、各法律科目の経験豊かな教授陣が揃っており、みなさんの目標を達成できるよう充実したサポートを行っていきます。意欲のあるみなさんと一緒に勉強できる日を楽しみに待っています。
ディプロマ・ポリシー
人材育成目標(卒業生が身につけるべき資質・能力)
新潟大学の理念である「自律と創生」のもと、様々な場面において新たな社会動向に対応して生ずる課題を発見し解決するために、従来の知識と発想を分野横断的に組み合わせつつ、公平・公正なルールに鑑みた望ましい解決策を考えることができる人材を育成する。とくに法曹養成プログラムにおいては、法曹になろうとする者に必要とされる法律的な専門知識及び法的な推論、分析、構成及び論述の能力を涵養する。学位授与の条件は以下の通りである。本学に当該プログラムの修業年限以上在学し、かつ所定の卒業要件を満たしかつ124単位以上を修得した者で、下記の能力を有すると認められる者に学士(法学)の学位を授与する。
プログラムの到達目標(目標としての学修成果)
(1)知識・理解
法曹になろうとする者に共通して必要とされる専門的学識(専門的な法律知識)を身に付ける。具体的には以下の4点を重視する。
- 法学の基礎的な概念・用語を理解する。
- 法体系や現行の政治・行政制度の基本構造を理解する。
- 特定の法分野の理論・構造を体系的に理解する。
- 法学の理論・学説・主要な判例について基本的な説明ができる。
(2)当該分野固有の能力
法曹になろうとする者に共通して必要とされる専門的学識の応用能力(法的な推論、分析、構成及び論述の能力)を身に付ける。具体的には以下の4点を重視する。
- 個別の事案に対し、どのように法を適用するかを説明できる。
- 法や政治の諸事象の問題の所在を認識し説明することができる。
- 諸課題の解決方策について、法学の観点から自説を展開することができる。
- 情報を整理し、考察を加え、自説を的確かつ論理的に文章化できる。
(3)汎用的能力
将来の実務に必要な学識及び能力並びに素養を身に付ける。具体的には以下の4点を重視する。
- ICTを活用し、情報の収集、整理、発信をすることができる。
- 自ら問題を発見し、解決策を立案し、解決に導くことができる。
- 自分の有する情報や相手の意見を踏まえ、自分の考えを自分の言葉で相手に分かりやすく、かつ、正確に伝えることができる。
- 価値の多元性を理解し、意思や利害の対立を解決に導くことができる。
(4)態度・姿勢
基本的人権の擁護と社会正義の実現に貢献することを目指すこと。具体的には以下の4点を重視する。
- 法曹を目指すという高い意欲のもと主体的に学ぶことができる。
- 多様な意見に耳を傾けつつ積極的に議論に参加することができる。
- 基本的人権を擁護する姿勢を持って勉学に取り組むことができる。
- 社会正義を追求する姿勢を持って勉学に取り組むことができる。
カリキュラム・ポリシー
教育課程の編成方針
法曹養成プログラムは、本学法学部における4年間の法学の学びを体系的に編成するものである。また、法曹養成プログラムは、法科大学院における2年間の既修者コースへの進学を前提とし、法科大学院における未修者コースの1年次までの学修内容を法学部での学びにおいて完成させようとするものである。すなわち法曹養成プログラムは、学部・大学院を通じた6年間の一貫性のある体系的な法学教育を前提とするものであるということができる。法曹養成プログラムの具体的内容は、「憲法」「行政法」「民法」「商法」「民事訴訟法」「刑法」及び「刑事訴訟法」に関する分野の科目を含む法科大学院における法律基本科目に対応する科目(以下、基本7法科目という)を中核とする。また、1年次の「スタディ・スキルズ」、2年次の「基礎演習(憲法・民法・刑法)」、3年次の「法文書作成」「法政演習」、4年次の「卒業研究」「ジュニア・リサーチ・ペーパー」といった演習科目を配置し、学生の主体的な学びを支援する。法曹養成プログラムでは、法学部での4年間の学びを大きく3つのステップに分けて編成する。3つのステップとは、「大学学習準備」「法的ルールの基礎学修」「進路選択・学修完成」である。
教育内容や方法に係る方針
第1ステップの「大学学習準備」では、大学の学びに必要なスキルの修得や法学の基礎的素養を養う。また、法学部における専門教育を受けるための導入として、社会における法の役割について学ぶ。具体的には、法曹を志す学生に早期に専門教育の機会を提供するため、1年次第1学期より、法学部導入科目である「人文社会科学入門(法学)」及び「リーガル・システム」を履修する。また、演習科目として「スタディ・スキルズ」を配置し、高校までの学びから大学における法学の学びへの転換を支援する。
第2ステップの「法的ルールの基礎学修」では、法律学及びそれに関連する領域関連科目を主として履修する。法律学の基幹科目である憲法・民法・刑法については、それぞれの講義科目に対応させつつ、「基礎演習」との組み合わせを、憲法・民法・刑法のいずれかで完成させる。具体的には、2年次の「憲法基礎演習」「民法基礎演習」「刑法基礎演習」において、少人数の演習を実施する。学生は、これら3つのうち少なくとも1つを履修しなければならない。
第3ステップの「進路選択・学修完成」では、社会の様々な問題を法的に対処するための問題解決能力を養うとともに法科大学院に進学するための基礎的素養を完成させる。具体的には、法的な議論と法文書の作成に係る実践的な能力の涵養を目的とし、3年次に「法文書作成Ⅰ・Ⅱ」を履修する。また、法曹に求められる専門的知識、課題発見能力、ディスカッション能力等を涵養するため、特定の分野に関する少人数での3年次の必修演習科目として「法政演習Ⅰ・Ⅱ」を、4年次の必修演習科目として「卒業研究Ⅰ・Ⅱ」を履修する。さらに4年次には、「ジュニア・リサーチ・ペーパー」を必修科目として履修し、本プログラムの集大成を図る。
学修成果の評価に係る方針
本プログラムにおいて重視する学修成果は、高い法的な推論、分析、構成及び論述の能力である。このため、基本7法科目を中核とする専門講義科目については、定期試験において記述式試験を原則とし、厳格な相対評価を実施する。また、専門演習科目については、高度な法文書作成能力の涵養を目的としてきめ細かな指導を徹底する。具体的には、「卒業研究Ⅰ・Ⅱ」「ジュニア・リサーチ・ペーパー」を集大成科目として位置づけ、これらの科目において法文書作成能力を涵養する。なお、法曹養成プログラムでは、とくに優秀な学生について、3年次での早期卒業が可能である。その場合には、通常の卒業要件にくわえ、高い成績要件(基本7法科目の3分の2以上が「秀」または「優」であること及び全履修科目の累積GPAの値が2.8以上であること)であることを要件とする。
シラバス
新潟大学のシラバスについては、以下のサイトで検索いただけます。
時間割
年間カレンダー・授業時間割については、以下のサイト、ファイルでご確認ください。
提供予定科目
法律系科目
- 憲法Ⅰ~Ⅲ
- 憲法訴訟
- 公法発展
- 行政法Ⅰ~Ⅲ
- 国家補償法
- 自治体法
- 選挙法
- 教育法
- 租税法
- 民法Ⅰ~Ⅸ
- 消費者法
- 環境法
- 会社法Ⅰ~Ⅲ
- 企業取引法
- 手形小切手法
- 保険法
- 海商法
- 民事訴訟法Ⅰ・Ⅱ
- 倒産法
- 刑法Ⅰ~Ⅲ
- 刑法各論発展
- 刑事法発展
- 被害者学
- 刑事訴訟法Ⅰ・Ⅱ
- 経済法Ⅰ・Ⅱ
- 知的財産法Ⅰ・Ⅱ
- 情報法Ⅰ・Ⅱ
- 情報セキュリティと法Ⅰ・Ⅱ
- 社会と情報
- 社会保障法Ⅰ・Ⅱ
- 社会福祉法制
- 労働法Ⅰ・Ⅱ
- 国際法
- 法社会学
- 英米法
- ジェンダー論
政治系科目
- 政治学Ⅰ・Ⅱ
- 日本政治外交史Ⅱ
- 比較政治
- 政治制度論
- 西洋政治思想史
- 選挙学
- EUの政治
- 国際政治学
- 中国政治基礎
- 政策科学概論
- 行政学Ⅰ・Ⅱ
- 政策評価論
- 公共政策
- 自治体政策論
演習科目
- 憲法基礎演習
- 民法基礎演習
- 刑法基礎演習
- 外国研究基礎演習
- 領域関連演習
- 法文書作成Ⅰ・Ⅱ
- 法政演習Ⅰ・Ⅱ
- 卒業研究Ⅰ・Ⅱ
外国語による科目
- Introduction to Japanese Law Ⅰ・Ⅱ, Basic
- Comparative Constitutional Law
- International Law, Basic
- Japanese Family Law and Society, Basic
- Introduction to Japanese Politics and Diplomacy, Basic
- Politics in Contemporary Japan, Basic
- Japan's International Relations, Basic
特色ある科目
- スタディ・スキルズ
- 人文社会科学入門
- リーガル・システム
- インターンシップ
- キャリア形成と自己実現
- 賢人会議Ⅰ・Ⅱ
- 新潟を学ぶ
- 新潟市の行政
- 司法書士と法
- 法医学Ⅰ・Ⅱ
- リーガル・プロフェッション
- 現代社会と法