令和7年11月8日(土)に京都大学にて開催された第2回「全国法学部経済法研究フォーラム」では、本学法学部の金子史彦さん(3年)がポスター発表を行いました。
「全国法学部経済法研究フォーラム」とは、経済法研究者有志10名からなる実行委員会が主催し、公正取引委員会競争政策研究センター(CPRC)が共催し、科研費等の助成を得て実施された、日本全国の学部生から報告者を募集するポスター発表大会です。市民の経済法への関心を高め、経済法の将来に関する個性ある見解を集め、そして、経済法を通じて大学間の広範な交流を深めることを目的としています。会場では、学生によるポスター発表と同時並行で、経済法関係者による3つのセミナーが実施されました。
今年度は、実行委員会による選考の結果、本学からの応募作品1点を含む、14大学からの応募作品24点が採択され、京都会場で発表されました。
金子史彦さんは、「『盾』としてのサステナビリティと競争法と排出量取引制度」をタイトルにして発表を行いました。社会公共の利益と独占禁止法との関係については、先行研究が多く存在しています。特に、環境保護を目的とする共同行為に関しては、その法的性質や正当化事由の所在が盛んに議論されています。しかし、それらの研究成果では、排出量取引制度の利用を考慮に入れた場合の分析手法が十分に整理されていません。この点につき、金子さんは、オランダの事例を参考に、排出枠の無効化制度の有無に応じて独占禁止法上の利益衡量が変化することを指摘し、排出量取引の政策目的に合致するよう無効化制度を導入することが望ましいと主張しました。
「参加してよかったと心から思います。アカデミアの『広さ』という魅力を肌で感じることができたからです。第一に、地理的な広がりを実感しました。大学での学びは専門的であり、学内の友人でも異なる法分野を学ぶ場合が多いです。しかし、所属大学の外に出ると、同じ法分野ないし論点に関心を持つ学生が多く、それらの方々も自分の仲間なのだと気づくことができました。第二に、時間的な広がりを実感しました。会場には様々な世代の先生方がいらっしゃり、自分の発表に関連する論点について、日本での議論の経緯や海外での動向の流れをご教授いただきました。今まで点や線で捉えていた情報が、時間軸の要素を加えることで整合的なストーリーとなり、理解が深まると同時に、学問の持つ物語的な魅力を再発見することができました。」と、金子さんから大会参加の感想を伺いました。
本年度フォーラムの報告者募集要領はこちら、
報告者らのポスター作品はこちらでご覧いただけます。
次回のフォーラムは、2026年に東京で開催される予定です。
本学学生からの積極的な応募を期待しています。
※ 参加学生の交通費及び宿泊費は実行委員会から全額の支援をいただきました。京都大学・和久井理子教授、成蹊大学・宍戸聖准教授をはじめ、実行委員会の先生方とセミナー講師の皆様には大会開催のため多大なご尽力をいただきました。ここに記して感謝を申し上げます。